學志館

2023.07.18

こんな夢を見た。『夢十夜』夏目漱石 

教育
少し前ですが、例の坂道にヤマユリが咲いていました。
良い香りが道に漂っていました。
さて、夏目漱石の『夢十夜』です。
夏目漱石作品は読んでおいた方がいいと思いますし、
文章もそれなりに読みやすいのですが、
長編が多いのがとっつきにくい原因ではないかと思います。
また長編ゆえに教科書に載せるのも難しく、
『こころ』のように超抜粋になってしまったりします。
個人的には『硝子戸の中』のような随筆がお勧めなのですが、
高校の教科書には『夢十夜』が採用されていますね。
見たことがあるのは、第一夜と第三夜と第六夜。
他の話もいかにも夢!という感じで面白いとは思うのですが、
解釈しようとすると、難解です。
その中でも第一夜は超難解じゃないかと思うのですが…。
その超難解な第一夜に、百合が出てきます。
死んでゆく女と百年待つという約束をして、
彼女を埋めたところから百合の花が咲くお話。
「真珠貝」で穴を掘り、「星の欠片」を墓石にして、
東から出て西へ落ちる「赤い日」を数え続ける。
そして、「青い茎」が伸びてきて咲くのは、
「真っ白な百合」、「暁の星」が瞬く中で…。
彩が美しい言葉が連ねられています。
そして、百合に「接吻」する。
百合が女の生まれ変わりで、もう百年経ったと分かる、
もういかにも夢の中の話です。
本当は漱石のリズム感と言葉を味わって終わってほしい所ですが、
教科書に載せて授業で扱うからには、試験を作らなければなりません、
…私が問うとしたら、言葉の意味と比喩表現ですね。
後は漢字の読みかなあ…。
野暮ですが、問題例。
・「うりざね顔」とはどんな顔か。
・「百年待っていてください」
百年は当時としては永遠ともとれる言葉で、愛の告白。
・「静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出した」
静かな水とは何を指すか。
・「苔の生えた丸い石」
墓標に苔が生えるという事は、何を表しているか。
彼女の生まれ変わりの白百合は、清楚で凛として美しく香る、
こんな百合だったのでしょうか。
『山道を登りながら、こう考え』てみました。
国語担当平野でした。
スムーススクロール

開く 閉じる