少し前ですが、例の坂道にヤマユリが咲いていました。
良い香りが道に漂っていました。
さて、夏目漱石の『夢十夜』です。
夏目漱石作品は読んでおいた方がいいと思いますし、
文章もそれなりに読みやすいのですが、
長編が多いのがとっつきにくい原因ではないかと思います。
また長編ゆえに教科書に載せるのも難しく、
『こころ』のように超抜粋になってしまったりします。
個人的には『硝子戸の中』のような随筆がお勧めなのですが、
高校の教科書には『夢十夜』が採用されていますね。
見たことがあるのは、第一夜と第三夜と第六夜。
他の話もいかにも夢!という感じで面白いとは思うのですが、
解釈しようとすると、難解です。
その中でも第一夜は超難解じゃないかと思うのですが…。
その超難解な第一夜に、百合が出てきます。
死んでゆく女と百年待つという約束をして、
彼女を埋めたところから百合の花が咲くお話。
「真珠貝」で穴を掘り、「星の欠片」を墓石にして、
東から出て西へ落ちる「赤い日」を数え続ける。
そして、「青い茎」が伸びてきて咲くのは、
「真っ白な百合」、「暁の星」が瞬く中で…。
彩が美しい言葉が連ねられています。
そして、百合に「接吻」する。
百合が女の生まれ変わりで、もう百年経ったと分かる、
もういかにも夢の中の話です。
本当は漱石のリズム感と言葉を味わって終わってほしい所ですが、
教科書に載せて授業で扱うからには、試験を作らなければなりません、
…私が問うとしたら、言葉の意味と比喩表現ですね。
後は漢字の読みかなあ…。
野暮ですが、問題例。
・「うりざね顔」とはどんな顔か。
・「百年待っていてください」
百年は当時としては永遠ともとれる言葉で、愛の告白。
・「静かな水が動いて写る影を乱したように、流れ出した」
静かな水とは何を指すか。
・「苔の生えた丸い石」
墓標に苔が生えるという事は、何を表しているか。
彼女の生まれ変わりの白百合は、清楚で凛として美しく香る、
こんな百合だったのでしょうか。
『山道を登りながら、こう考え』てみました。
国語担当平野でした。