學志館

2022.10.20

『秋の夜の会話』 

教育

最近急に冷え込んできましたね。
そろそろどこからかこんな会話が聞こえてきそうです…

さむいね。
ああさむいね。
虫がないてるね。
ああ虫がないてるね。
もうすぐ土の中だね。
土の中はいやだね。
痩せたね。
君もずゐぶん痩せたね。
どこがこんなに切ないんだらうね。
腹だらうかね。
腹とつたら死ぬだらうね。
死にたくはないね。
さむいね。
ああ虫がないてるね。

この詩は草野心平、二匹の蛙の対話を描いた詩です。
以前、教科書にも採用されていたと思います。
冬眠前、二匹の蛙の繰り返しの語りによる、どこかとぼけた、
けれどちょっぴり悲しい切ない様子が感じられます。

どこがこんなに切ないんだらうね。

徐々に体温が下がり、冬眠に入っていく蛙の切なさに比べれば、
人間が感じる切なさなんか大したことないかもしれませんが、
秋が来て、気温の変化を感じるようになると、やっぱりちょっと切なくなりませんか。
だからかえってハロウィンやらお祭りやらで騒ぐのかも?
おなかが空くとおなかも切ないですしね。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ

これは俵万智さんの有名な短歌ですが、この『秋の夜の会話』を踏まえて
詠まれたものではないかと言われています。

そろそろ冬支度も始めなければ…
国語担当平野でした。

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