學志館

2023.10.12

「秋の歌」

教育

秋の日はつるべ落とし。學志館に向かう道も随分と暗くなってきました。
足元にはドングリ、はらはらと枯葉が落ちてきます。
こんな時に頭に浮かぶ、ちょっと素敵な詩をご紹介しましょう。

「落葉」 ポール・ヴェルレーヌ 訳・上田敏

秋の日の
ヰ゛オロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。

げにわれは
うらぶれて
ここかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。

こちらは同じ詩、訳・堀口大学。

秋風の
ヴィオロンの
節ながき啜泣(すすりなき)
もの憂き哀しみに
わが魂を
痛ましむ。

時の鐘
鳴りも出づれば
せつなくも胸せまり
思ひぞ出づる
来し方に
涙は湧く。

落葉ならね
身をば遣る
われも、
かなたこなた
吹きまくれ
逆風(さかかぜ)よ。

…どちらが好きかというのは好みだと思いますし、
どちらも素敵な訳詩だとは、大学で勉強した当時も思いました。
ただ、一節全て5音で構成された緻密な上田敏の訳は、
原詩のリズム感にふさわしいと思うのです。
元の詩はこちら。日本語訳はグーグル先生です。

CHANSON D’AUTOMNE 秋の歌

Les sanglots longs 長いすすり泣き
Des violons バイオリン
De l’automne 秋
Blessent mon cœur 私の心を傷つける
D’une langueur だるさの
Monotone.  単調。
Tout suffocant すべて窒息
Et blême, quand そして青白いとき
Sonne l’heure,  時間を打つ、
Je me souviens 覚えています
Des jours anciens 古代の日
Et je pleure; そして、私は泣いています。
Et je m’en vais そして、私は立ち去ります
Au vent mauvais 悪い風に
Qui m’emporte 誰が私を連れ去っているのか
Deçà, delà,  あちこち
Pareil à la と同じ
Feuille morte. 枯れ葉。

如何でしょう?
グーグル先生の訳も趣はあると思います(笑)
今年はずっと暑くていきなり涼しくなってしまって、
秋はどこだ、と言いたくなるような昨今ですが、
今日ゆとりがあればミルクティーでも淹れて、
少しだけ秋の詩を読んでみましょうか。

実は専攻・近代詩の、国語担当平野でした。

スムーススクロール

開く 閉じる