學志館で国語を担当している平野です。よろしくお願いします。
今日は七夕でした。雲はありましたが、池子校からの帰りの夜空は星が輝き、異例の梅雨明けの速さのおかげで、何年振りかで織姫と彦星の逢瀬を垣間見ることができました。七夕は、もともと日本にあった行事の担い手、棚機つ女(たなばたつめ)と、中国の星祭・乞巧奠とが合わさって今の行事になったとされています。だから「七夕」と書いて「たなばた」という訓読みをするのですね。節句の場合は「七夕の節句」(しちせき)と読みます。
ところで、先週の事です。
「先生、『よだかの星』って知ってる?」
「また突然聞いてきたねえ。宮沢賢治のでしょ、もちろん。」
「昔論理エンジンに載ってたんだよね。他全部忘れたけど、あれもう一度読みたいんだ」
彼はやおら立ち上がるとごそごそと塾にある小学生用の論理エンジンを開き「あった、これ」
「すごい時間かけてやった記憶がある、他全部忘れたけど、これはなんか覚えてるんだよね」
「よだかは、じつにみにくい鳥です。」
なかなかのインパクトのある一文で始まる『よだかの星』は、宮沢賢治が自分自身をよだかに例えて書いたとされている、ちょっと切ないお話です。
出口先生は宮沢賢治がお好きなのか、論理エンジンでは『注文の多い料理店』や『銀河鉄道の夜(一部)』が教材として扱われています。決して短くはない『よだかの星』はなんと全文収録されていました。
そして今週。
「先生、うちにあった! お母さんが持ってた!」
と見せてくれたのが年季の入った画像の本。
「昔のエンジンもあった、ちゃんと取ってあった。もう一回読む。」
彼は、學志館に小学生から通っているベテランで、入塾当初は国語のテキストにかなり手こずっていた記憶があります。その彼が、昔のテキストに載っていた話を覚えていてくれた。それをわざわざ探し出して報告してくれた。これから読むと言ってくれた。
そしてこれから全集を読むことで再会する物語と、新たに出会う物語がある。彼にとって『よだかの星』はきっと良い出会いだったのでしょう。
長く講師をやっていると出会う、ちょっと嬉しい星のお話でした。
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